ザザァァァー。


潜水艇が上流へと進み、


洞窟の入口が、どんどんと近付いてくる。


後少しで洞窟の中に入る…ぞ。


10m…5m…洞窟の入口だ。


潜水艇が、洞窟内へと進入した。


速度は落ちることなく、洞窟の奥へ向かって、ぐんぐんと進んでいく。


奥に進むにつれ、入口からの光が届かなくなり、周りが暗くなってくる。


周囲が完全に暗闇に包まれる―


そう思った直後、


潜水艇の外側が発光し、


洞窟内を明るく照らし出した。


シルが光らせてくれたようだ。


洞窟の様子が、見えるようになった。


少し泥の混じった川の水の奥に、


ゴツゴツした岩壁が見える。


天井には、尖った鍾乳石が垂れ下っている。


進行方向を見渡すと、潜水艇が放つ光が届かず、


闇があった。


洞窟に入ったばかりなのだが…、


早く外に出たいと感じる…ぞ。


周りの雰囲気が、凄まじく恐ろしいのだ。


この洞窟は、どれくらい続いているのだろうか。


私は這って、この居住部分の真ん中付近にいるシルの近くまで移動し、


「シル。


洞窟の外へは、どれくらいで出られるだろうか」


聞いた。


シルが私の方を向き、


「1時間ほど。


なるべく早く出られるよう、


最善、尽くす」


答えた。