ザパン。


水しぶきの上がる音で、


私の目が覚めた。


ここは…、


イカダの上の、


休憩ドームの中…。


イカダでアマゾン川を上って、アンデス山脈へと向かっている途中…だ。


大分、寝たようだ。


空が…明るくなってきている。


起きる時間だ…ぞ。


私は体を起こし、周囲を見回した。


シルが、床から少し浮いて、体を光らせていた。


クーは、ドームの前側で、イカダの進行方向をじっと見つめて座っている。


外の様子は、昨日の眠る前とくらべて、変わっているだろうか。


私が眠っている間もずっと、シルがイカダを航行してくれていた。


アマゾンの奥地に、随分と深く入り込んだように思える。


私は念じてドームの壁をすかし、外を見た。


おお…、


変わっているぞ。


川幅が昨日よりも狭くなっている。


岸に生える木々が、すぐ間近に見える。


進行方向を見ると、川が大きく右へ左へと曲がっている。


地形が複雑になったようだ。


私はシルの方を向いて、


「おはよう、シル。


イカダの航行、大変ではなかろうか。


川が狭くなり、曲がりくねっているのだ」


と、聞いた。


シルがこちらを向き、答える。


「おはよう、コウ。


イカダの航行、現状、問題なし。


川の幅、曲がり、許容範囲。


問題の発生しないよう、細心の注意をして航行、行う」