レアダニが、2本脚で草木を軽快に避け、近付いてくる。


それを見て、私は、慌てて刀を構えた。


この力のない刀で対抗出来るか分からないが、とにかく頑張ってみるぞ！


「うぉぉぉ！」


私は、無理矢理、声を出し、気力を高めた。


ブ…。


すると、ほんの少しだけ、刀の振動が強まった。


何か心許ないが、行ける感じになった…ぞ。


しかし、真正面から攻撃しても、うまくいかない感じがする。


有利な位置を取りたい。


私は、辺りを見回した。


傾斜があることに気付く。


よし。


この傾斜を登り、上から攻撃するぞ！


私は、それを実現すべく、上へ移動し始めた。


「ぐぅぅう！」


それを見て、レアダニが咆哮をあげた。


そして、私と同じく傾斜を登り始めた。


すぐに追い抜かれ、私より、上に登ってしまった。


「なっ！」


逆に私が不利な位置取りになってしまったぞ。


私の魂胆が読まれてしまったようだ。


レアダニ…頭が良い。


小細工が通用しない感じだ。


もう真正面から、挑むしかないぞ！


私は、不利な位置取りから、レアダニに斬りかかる。


ブゥン！


2mの細い粒子の刀が、軌跡を描く。


ガァ！


レアダニの頭に当たる寸前、牙が受け止めた。


ギィィィ！


振動する刀と牙が、摩擦し、強烈な音を放つ。


ピキィィィン！


割れる音が響き、音が止む。


割れたのは…、


刀の方だ。


ブゥン！


レアダニの右脚の1つが動き、私を弾き飛ばした。