私は慌てて、その地点を見つめる。


何かが水面下から飛び上がっていた。


空中で、太陽の光を受けて、銀色に輝いている。


レアコアの欠片…だ。


遠く離れていたが、レアコアケラとの戦いの時にシルが作ってくれた、このメガネのお陰で、姿形がよく分かった。


どこかで見たことがある姿をしている。


池や水たまりで、よく見かける。


…分かった。


アメンボだ。


しかし、サイズは違う。


昆虫のそれと比べ、圧倒的に大きい。


2mぐらいはあるだろう。


それは、水面に着地すると、


盛大に、水しぶきを上げ、


こちらに向かってきた。


ザァァァー！


川を滑っている…。


なっ！


速い！


この急流を逆らって上っているのに、


どんどん差が縮まってくる！


「シル！


岸にイカダを！


川の上では、うまく戦えない！」


私は、慌ててシルに言った。


「了解」


シルはうなずくと、イカダを岸の方に向け、旋回させた。


うっ！


急激なGがかかり、私は床に手をついた。


きついカーブ…だ。


しかし、ありがたい。


このペースなら、アメンボ型のレアコアの欠片、


レアアメンがこちら到着する前に、陸に上がれそうだ。


レアアメンが現れたのが、イカダから離れた場所で良かったぞ。


私がそう思った時だ。


「コウ！


伏せて！」


シルが、叫んだ。