「ぐぅぅぅ！」


ギィィィ！


私が、振り下ろした刀は、


レアダニの牙によって、


受け止められた。


くっ、届かなかったか！


刀が持たないと、ヤバいぞ！


刀を見ると、つぶれることなく、形状を維持している。


先程のように、割れそうには見えない。


私の意志力が高まったことで、力のある刀となったようだ。


しかし、私は体がしびれて、立ち上がることが出来ない状態だ。


このままでは、力尽き、やられてしまうぞ。


なんとかしなければ…。


「ぐぅ、ぐぅ！」


なんとかしようと動き出したのは、私ではなく、レアダニの方だった。


牙を小刻みに振り、圧力をかけてきた。


ギィ、ギィィィ！


凄い力だ！


刀が曲がり、割れそうに見える！


ヤバいぞ！


私がそう思った時だった。


「くぅん…」


私の横で、食糧配給システムのクーが鳴いた。


悲しそうな顔で、私を見つめている。


「クー…」


…今朝食べた、クーの生成したもずく酢が思い出される。


おいしかった。


やられたら、食べられなくなる。


クーが、やられてしまう…。


体が、震える。


私は、これからも、クーの作る料理が食べたいのだ。


ここで…やられてたまるか！


「うぉぉぉ！」


ブゥン！


「意志力上昇。


粒子振動、増加」


シルがそう呟くと、


ビシッ！


刀から、火花があがった。


その瞬間、


バリィィィン！


レアダニの牙が折れた。


そして刀が、


レアダニを切り裂いた。


ザァァァン！


レアダニの体が、後ろへ吹っ飛ぶ。


ドォン！


そして、木にぶつかって止まった。


やったか…？


しかし、まだ起き上がろうとしている。


駄目なのか…。


そう思った時、レアダニの体が振動し始めた。


「ぐぅぅぅ！」


そして咆哮すると、淡く発光し、溶けるように消えた。


レアダニとの戦いが…終わった。