攻撃のチャンスだと思ったのは、私の気のせいだった。


なぜなら、私が走り出した途端、レアダニが、急反転し、牙を向けてきたからだ。


「グゥゥゥ！」


体の割に動きが速い！


他の欠片もそうだったが、油断ならない。


泣けてくるぞ！


しかし、ここまで来たら立ち止まれない。


当たれ！


私は、思い切り、刀を振り下ろした。


ブゥン！


ガァ、ギィィィ！


刀は、レアダニの体には届かなかった。


牙によって受け止められ、摩擦音を発する。


刀が牙によって、へこんでいるように見える。


噛み切られそうだ！


そうなったら、ヤバいぞ！


うおお！


私は、その事態を避けるため、刀に気力を込める。


ギィィィ！


刀身の振動数が上昇した。


へこみがなくなった。


なんとか…耐えられるレベルになったようだ。


「グゥゥゥ！」


その振動を嫌に感じたのだろう。


レアダニが、咆哮をあげた。


そして、牙を振り上げ、私を投げ飛ばした。


「うぉ！？」


凄い勢いだ。


目に映る物が、急速に流れる。


「コウ！


背後に木、接近！」


シルの声が響く。


私はその言葉に反応し、背中に粒子の盾を出す。


ドォン！


背中に強い衝撃がはしる。


「っ！」


地面へ落ちる。


痛いぞ！


しかし、シルが言ってくれたお陰で、大したダメージにならなかった。


私は、レアダニの次の攻撃に備え、立ち上がり、構えた。