昼食を食べてから時間が経ち、お腹も落ち着いた。


シルの治療も大分効き、体も完全に回復しているように思える。


次の遺跡に出発だ。


「シル。


クー。


出発するぞ」


私がそう言うと、目をつぶりながら浮かんでいたシルが、目を開き、うなずいた。


「了解」


そして、休憩ドームの壁をすり抜け、外に出て行った。


「くぅん」


犬型食糧配給システムのクーもシルの後に続いて壁をすり抜け、出て行った。


私も靴をはいてドームの外に出る。


蒸し暑い風が私を包む。


休憩ドームの中とは大違いだ。


しかし、それに慣れた私には、なじむ風だ。


私の心が奮い立つぞ。


私の気力が高まった時、


「くぅん」


私の横でクーが鳴いた。


「？」


何かを伝えたがっている…？


「コウ。


クーも、一緒に意思石の外に出て、冒険したいと言っている」


「くぅん…」


クーが目で訴えている。


切実な目だ。


断われるわけがないぞ。


それに、考えても断る理由が出てこない。


「一緒に冒険だ、クー！」


「わん！」


クーが嬉しそうに鳴く。


クーはシベリアンハスキーに似た、かっこよくて可愛い犬だ。


そんな犬と一緒に冒険出来るのだ。


嬉しいぞ。


「クーにしても、私にしても、古代人から見て道具にあたった。


そのため、クーは遠慮した。


感謝」


そうか。


超古代文明において、人に道具として利用されていたため、


自分の意思を尊重しにくいのだ。


「私は古代人ではない。


遠慮は必要ないぞ。


一緒に行くぞ、クー！」


「わん！」


遠慮する犬、クー。


素晴らしいぞ。