ズゥゥ…！


5mほど前の床がひび割れ、


ダッ！


銀色の何かが飛び出した。


ズゥン！


重たい着地音が響く。


虫に似た…レアコアの欠片だ。


何かの虫に似ている…。


わ…分かった。


コクゾウムシだ。


細長い口先を持つ、米が好きな、体長2、3mmの小さな虫である。


しかし、目の前にいるレアコアの欠片の体長は2mはあるだろう。


ブゥン。


口先を振り回し、私達に威嚇をした。


つ…強そうに思える…ぞ。


「コウ。


力石にアクセス中は、私の出力の一部はそちらに回される。


それに、離れた、この場からコウにエネルギーを送ることになる。


パワー激減。


あのレアコアの欠片は、かなり力が強いと想定される。


その状態では、力を防ぎ切れない。


厳しい戦いになる…。


しかし、アクセスを途中解除し、力石無しで挑んだ場合、力不足。


勝てないと予測される。


…コウ。


後12分、耐えて欲しい。


力石が得られれば、勝てる可能性が高まる」


あのレアコアの欠片は、そこまで強いと言うのか！


「な…なんとか頑張ってみるぞ」


私は無理矢理、うなずいた。


「来る」


コクゾウムシ型のレアコアの欠片がこちらに向かって動き出した！


で、出るのだ、刀よ！


ブ…。


周囲から粒子が集まり、右手に刀が現れた。


以前、発現した時と比べ、明らかに粒子の集まり方が少なく、揺れも弱い。


シルの言った通り、大分、力が落ちているようだ。


レアコク（省略した）が、かなりの速い速度で私に接近し、


口先を振り下ろしてきた！


「！」


私は回避が遅れ、刀で防ごうとする。


ドォ！


私は弾き飛ばされた。


刀で防ぐことに成功し、直撃は避けられた。


しかし、体勢を崩し、床に思い切り叩きつけられる。


「っ！」


激痛が走る。


しかし、痛がっている場合ではない。


またレアコクが、私にめがけて突進を始めている。


シルの言った通り、かなり力が強い。


攻撃を受け止めては駄目だ。


なんとか避けたい。


しかし…、動きが速い。


体が重たそうな割に軽快だ。


あっという間に、私の近くまで迫ってくる。


口先を槍のように扱い、私を突いてきた。


私は右方向へ避けようと、動く。


しかし…、


避け切れない！


盾よ！


右手に持っていた刀が消えると同時に、


左腕に向かって風の流れが起こり、半透明の盾が現れた。


レアコクの口先が、


ドォ！


盾とぶつかった。


す、すごい衝撃だ！


私はまたも、弾き飛ばされる。


しかし、今度は痛みが発生しない。


床にぶつかる直前、盾で衝撃を抑えたからだ。


私は着地に成功し、良い体勢をとれた。


レアコクは斜めを向いて、止まっている。


攻撃のチャンスだ。


出るのだ、刀よ！


盾が消え、右手に刀が現れる。


おぉ！


私は思い切り刀をレアコクへと振り下ろす！


ザァン！


斬撃が走る。


しかし…、


大したダメージを与えられていない！


何事もなかったように、レアコクは私との距離を置いた。


くっ…、頑丈な体だ。


ダメージを与えるのは、今の刀の状態では厳しそうに思える。


攻撃が効かないのならば、力石に望みをかけるしかない。


なんとか、盾を使うことで、しのぎ切れるか。


私はその方針で、レアコクから逃げ回ることにした。


◇


10分が経過。


何度も弾き飛ばされたが、致命傷は避けられた。


後少しで、シルが力石へのアクセスを完了出来るはずだ。


さあ、来い。


レアコク！


「？」


レアコクは私の方へ来なかった。


想定外の動きをした。


私ではなく、シルがいる、祭壇の方へと向かい始めたのだ。


「り…き…せき…か…」


レアコクがしゃべった。


「…！」


勘付かれたのだ。


レアコアも超古代文明の遺産。


力石のことを知っているのだろう。


シルは戦いの間、力石のある祭壇の上で、ずっと浮かんでいた。


シルが力石にアクセスしていることに気付き―


ヤ、ヤバい。


シルが危ないぞ！


しかし、動きが速い。


自分の位置からでは、とても間に合わない！


どうすれば良いのだ！