他のアマゾンの遺跡に向かう途中…。


ズゥゥ…。


地面が鳴った。


「コウ。


レアコアの欠片が来た。


注意」


情報提供データベースのシルが言った。


レアコアの欠片が来たか…。


一体、どんな奴が来るんだ。


「コウ。


意志力エネルギー変換システムを起動させる」


「頼む」


意志力を、物理的な力に変換するシステム。


それを自分がうまく扱えるかが鍵だ。


「システム起動」


彼女の体から、光があふれる。


「心とリンクを開始」


意志力エネルギー変換システムが、私の心に繋がろうとしている。


「リンク完了」


準備完了だ。


…。


アマゾンが静寂に包まれる。


「来た」


その言葉と同時に、20m程先の地面が盛り上がった。


そして、何かが跳ねた。


周りの土砂が、飛んだ。


着地。


「グゥゥ…」


こいつは…、何かの昆虫に似ている。


ケラだ。


ケラ。


地中での行動に特化した、昆虫。


土を掘るのが得意だ。


そのための強靭な前脚を持っている。


しかし、大きさは違う。


全長1.5mはあるだろう。


そいつが、私を見た。


そして、その前脚を使って、いきなり地面をすくい、私に向けて飛ばしてきた！


大量の土砂が来る。


とっさに、木の裏に隠れた。


ズゥゥン！


木が揺れた。


避けられなければ、大ダメージだ。


私は次にレアコアケラがどう行動するか、木の裏から少し出て、見ようとした。


「駄目。


危険」


すると、シルが止めた。


ズゥゥゥン！


第二波が、すぐにやってきた。


シルが止めてくれなかったら、やばかった。


その後も立て続けに土砂を飛ばしてくる。


これでは奴に近づけない。


「コウ。


どうする？」


どうするか…。


…。


よし！


この方法を試してみるか。


粒子が私の意志に従うのなら、出来るはずだ。


私は意志を強めた。


「意志力上昇。


空気中の粒子、集束」


私の右手に、粒子が集まる。


私はタイミングを見て、木の裏から出た。


そして、その粒子を、レアコアケラに向けて飛ばした。


「あたれ！」


「粒子、目標へ、急速飛行」


粒子の波動が、レアコアケラに向かって飛ぶ。


バァン！


直撃。


レアコアケラがふっ飛んだ。


地面を転がり…、


スッと何事もなかったように体を起こす。


「ダメージ軽微。


コウ。


すまない。


私の力、不足。


力の効果範囲、狭し」


くっ！


距離があったから駄目ということか。


どうすれば…。


考えようとした時、思った以上の素早い動作で、レアコアケラが立ち上がった。


そして、すぐさま、土砂を飛ばしてきた。


しまった！


私は避けようと跳んだ。


だが、少し間に合わなかった。


直撃は避けることが出来た。


しかし、小石が私の掛けているメガネにあたった。


「うわぁ！」


メガネがふっ飛んだ。


く…破損したことは間違いないだろう。


ヤバいな…。


私は視力が良くない。


周りが良く見えなくなった。


ほんのり、レアコアケラが近づいてきているのが分かるくらいだ。


万事休す。


私は、どうなるのだ。