私は慌てて振り返り、


この潜水艇の操縦手であるシルの方を見た。


シルは…、


じっと進行方向を見つめたままだ。


枝が迫っているのに、


眉一つ動かさず、浮遊している…。


…いかん！


もう枝が来る。


ぶつかるぞ！


私は衝撃に備えて、


床に身を伏せた。


凄く、揺れるだろうか。


吹っ飛ばされ、壁に強く叩きつけられるかもしれない。


ちゃんとガード出来るよう、意識しておくぞ。


いや…、待てよ。


もっと最悪のケースも…ある。


私のいるこの場所は潜水艇の前側なのだ。


枝が衝突する付近なのだ。


もし枝が潜水艇の壁を貫通したら…、


私の体は、大変な目に遭ってしまうぞ！


そのことに早く気付いて、


真ん中あたりに戻っておけば良かった。


もうそこまで移動出来るだけの時間は残されていない。


くっ。


どうか壁よ、持ちこたえてくれ！


私は体を震わせながら、目前に迫る枝をにらんだ。


衝突まで、7m、5m。


ぶつかる！


ゴォォォ！


枝が私の3m手前まで迫り―


突然、視界から消えた。