…。


…あっ！


そうか！


その手があったか！


うつむいた瞬間、


私の頭の中に、ひらめきが起こった。


目の片隅に映った、休憩ドームのドアを見て、ひらめいたのだ。


この方法を使えば、自分の臭いの問題を解決に導くことが出来るかもしれない。


試して…みるぞ。


私は、ドアに近付くと、念じて壁を透かした。


大丈夫そうだ。


私は、そう判断すると、ドアを開き、外に出た。


粒子のイカダは、5m四方、休憩ドームは3mの大きさだ。


そして、ドームはイカダの後部に位置している。


前部分に2mほどのスペースがあるのだ。


ブォォォ！


外に出た瞬間、強烈な風が私を襲った。


イカダは、猛スピードで川を上っている…。


うぉぉぉ…。


怖いぞ…。


落ちないよう、注意せねば…。


私は、体勢を低くした。


…では、


やるぞ。


私は思うや否や、


その場で180度回転した。


そして、前へ進み、


ドームの中に戻った。


ドアが閉まる。


よし。


これで、臭いが取れたはずだ。


私は、左肩に鼻を近付け、臭いを嗅いだ。


思った通りだ。


臭わなくなっている。


やったぞ！


私は、喜んだ。


粒子の障壁のお陰だ。


出入り口に薄く展開する、透明な粒子の壁である。


今日の昼、虫や、泥がドーム内に入るのを防いでくれた。


粒子の障壁は、危険なものを、弾いてくれる力があるのだ。


念じた場合も、壁となってくれる。


私は、ドアをくぐる時に、臭いの原因物質が一緒に入らないよう、念じたのだ。


その私の意に従い、臭さを弾き飛ばしてくれたのである。


これでシルに、変なお願いをしなくて済む。


良かったぞ。