「くぅん…」


ドームの床に座ってまもなく、犬型食糧配給システムのクーが話しかけてきた。


夕食に何を食べたいか、聞いているのだ。


「ありがとう、クー。


食べたい物を念じさせてもらうぞ」


私は念じた。


「わん！」


了解してくれたようだ。


クーには人が食べたいと念じた物を生成する力があるのだ。


昨日、シルから日本食の情報を得ており、


日本で流通している、あらゆる食べ物を提供可能だ。


懐かしい日本の味を堪能させてくれる、ありがたい犬だ。


「くぅ～ん、くぅ～ん…」


ドームの周囲から粒子を集め、食事を生成している。


「わん！」


出来たようだ。


私の目の前に、ご飯と、わかめやネギが入ったみそ汁、タルタルソースのかかったタラのフライが現れた。


「おお…。


食べさせてもらうぞ」


私はそう言うと、箸を使い、タラのフライを口に運んだ。


ふわっとした食感だ。


「おいしいぞ、クー！」


「わん！」


「クーが作り出した食事は、栄養価の高い粒子が材料。


体の内側から、元気、上昇」


シルが言った。


おいしい上に、栄養まである食事…。


私はクーには、とても頭が上がらないと感じた。