他のアマゾンの遺跡に向かう途中。


雨が降り始めた。


土砂降りだ。


視界が見にくいレベルだ。


アマゾンは熱帯雨林。


年間を通して、かなり雨量が多い。


大量の雨が降るのは、珍しくないが…。


しかし、かなりの大降りである。


先に進むのが、困難に思える。


「シル。


雨がヤバい。


一時的に、休憩が必要に…。


あぁ！」


私は濁流に足をとられ、つまずいた。


「…休憩ドームをお願いしたいのだが」


私は座り込みながら、シルに言った。


すると、私の右斜め前に浮かんでいたシルが振り返り、私に言った。


「コウ。


大丈夫。


雨をなんとか出来る」


「？」


どうするというのだろうか？


「周囲の粒子を、半径3mで集束」


シルが右手を上にかざし、つぶやいた。


ビュー…ン。


大気がうなる。


その音とともに、私を強く打っていた雨が止んだ。


周りを見ると、雨が半透明の粒子の壁により、弾かれていた。


足元を流れていた濁流も、その半球状の壁に弾かれ、消えた。


おぉ…。


スゴイぞ。


「ありがたい。


これでスムーズに先に進めそうだ！」