「くぅん…」


犬型食糧配給システムのクーが、私に何が食べたいか聞く。


何を、食べるか。


よし。


決まったぞ。


「クー。


私が食べたい昼食のイメージを送る。


受け取ってくれ！」


私は、念じた。


「わん！」


クーが了承する。


そして、


「くぅーん、くぅーん」


空気中の粒子を合成し、昼食を作り始めた。


ブ…。


私の目の前に、


皿に載った、2つのおにぎりと、


コップに入った、炭酸ジュースが現れた。


「では、頂くぞ」


私は、おにぎりを1つ手に取り、


口に運んだ。


中に入っていた具は、梅。


口当たりの良い酸っぱさが、


お腹を空かせていた私の食欲を極限まで高めた。


ものの数秒で食べ終わる。


続けて、残ったもう1つのおにぎりを口へと運んだ。


中に入っていた具は、梅。


加速していた私の食事スピードを、維持させた。


ものの数秒で食べ終わる。


次は、炭酸ジュースだ。


私はコップを口へと運び、傾けた。


口の中が、


シュワ、シュワ。


フルーティーな微炭酸で満たされる。


爽快感が私の内側から、


あふれ出してくる…ぞ。


「シルよ！


私の体の疲れが、


空腹が、


癒された。
 

イカダを、アンデス山脈へと、進めてくれ！」


シルが、優しい表情を浮かべ、うなずく。


川の上で止まっていた粒子のイカダが、


ザァァァ。


航行を始めた。