ザァァァ！


押し寄せる波の圧力で、私の体が木に打ちつけられる。


うっ！


その衝撃で、私は木から手を離しそうになる。


手を離したら、駄目だ！


私は、緩んだ手に再び力を込め、耐える。


ミシッ…。


木が揺れ、きしむ。


私が掴んだ木は、幹が細めだ。


折れてもおかしくない。


頼む、木よ…。


持ってくれ…。


私は、祈りながら、耐え続ける。


しばらくすると、波が引いてきた。


後、もう少しの辛抱だ。


戻りが速い。


足が取られないよう注意が必要だぞ。


数秒後―


完全に波が引いた。


私は木から手を離し、膝をつく。


危なかった。


また、川底へ戻るところだったぞ。