「シル。


よくぞ、イカダを急発進してくれたぞ」


私はフラフラになりながら、体を起こした。


そして片膝をついて座る。


「くぅ…ん」


「大丈夫、コウ？」


クーと、シルが心配そうに私に言った。


「多少頭がフラフラするが、大丈夫だ…ぞ。


レアアメンの脚に、勢いよく叩かれていないためだ。


私は頭上近くで、脚を受け止めていた。


脚の振り下ろす速度が、それほど加速しなかったのだ。


…失敗をしてしまったと感じる。


波動に意識を集中しすぎたばかりに、刀が消えてしまい、頭を叩かれてしまったのだ。


次、同じ過ちをおかしたら、今度こそ、思い切り叩かれるだろう。


…もう、大丈夫そうだ」


そう言い、私は立ち上がった。


それと同時に、


ドパァァァン！


前方で、水しぶきが上がった。


レアアメンが、水面下から飛び出したのだ。


逆立ちした状態で、水面に着地する。


そして、


私達の姿を確認すると、


「グゥゥゥ！」


ビシャァァァ！


凄い勢いで、こちらに向かってきた。