ザザァァァー。


アンデス山脈に向け、アマゾン川を粒子のイカダが上っていく。


ドームの中から外を眺めていると、


「コウ。


気になる食べ物、見つけた」


情報提供データベースのシルが話しかけてきた。


気になる食べ物…、何だろうか？


「モンプチ、極上切り身まぐろ」


「モンプチ、極上切り身まぐろ？」


「そう。


今、投影する」


彼女は、そう言うと手を前にかざした。


幻想的な光があふれ、ドーム内を舞った。


そして集束し、ホログラフィが現れた。

モンプチ ゴールド 極上切り身まぐろ(80g)【モンプチ】

「これ。


猫用、缶詰。


まぐろの切り身、使用。


極上、ソース仕上げ」


「おお…。


マグロを使用した、猫用の缶詰…。


マグロは、度々缶詰のものを食べる。


実に美味である。


あふれ出す旨みが、食を進めてくれるのだ。


…この猫用の缶詰は、


ソース仕上げ。


上質に作られている感じだ。


猫もおいしく食べられそうだ」


…何か、


猫缶といえど、おいしそうに思えてくる。


しかし、私は人である。


食べることは出来ない。


キャットフードは猫のために調理されているのだ。


…猫となりたいものだ。