シルがこくりとうなずく。


「本当、そう。


ここまで航行出来て良かった。


だけど、まだ安心は出来ない。


上流に行くにつれ、川が急流になっていく」


「川が急流に…？」


「そう。


川の傾斜が急で流れの激しいところが増えていく。


水深が浅く水面から岩が顔をのぞかせるところも多くなる。


イカダの航行、難しくなる。


コントロールをあやまり、岩にぶつかる恐れあり」


「イ、イカダが岩にぶつかったらヤバいぞ。


イカダは速いスピードで川を上っているのだ。


岩の側面を軽くこすったぐらいなら良いが、


もし思い切り正面から衝突してしまったら、凄い衝撃になって、


きつく私の体がドームの内壁に叩きつけられてしまう。


ドームの壁がやわらかく作られているとはいえ、とんでもなく痛そうだ…ぞ」


私はイカダが岩にぶつかった瞬間を想像して体を震わせた。


「イカダがバランスを崩して岩にぶつからないよう、


細心の注意を払い、航行を行う」


「かなりの集中が必要で大変だと思うのだが、


なんとか岩にぶつからないようにイカダの航行をお願いしたい」


シルが真剣な表情でうなずき、上流へと顔を向けた。