波動がレアゲンにあと十数mのところまで迫った。


レアゲンが…もうすぐ回避に動く。


しっかりと神経を研ぎ澄ましておく…ぞ。


レアゲンとの距離、10m…5m―


ゴォ！


レアゲンが動いた！


川底を後ろ脚で蹴って急浮上を始めた！


波動よ、猛烈な勢いで上昇するのだ！


グゥン！


波動が鋭く真上に曲がった。


数段速度を高め、レアゲンを追って上昇していく。


よ…よし、


うまく波動をレアゲンに向かわせることが出来た。


これならば、進化したレアゲンといえど―


なっ…。


そ、そんな！


素早く曲げたのに…、


猛烈な勢いで上昇させているのに…、


波動とレアゲンの距離が縮まっていかない。


それどころか、どんどん離されていくぞ！


レアゲンが後ろ脚を高速に動かして泳ぎ、


浮上速度を急激に加速させているのだ！


ヤ、ヤバい、このままでは波動の上を抜かれてしまう！


波動よ、もっと上昇速度を高めるのだ！


ゴォ！


波動が加速する。


ま…間に合うか―


く…！


駄目だ！


上を抜かれてしまったぞ！


レアゲンが波動の上を抜いた後も速度を緩めず浮上していき―


バシャン！


川の上に飛び出た。


そのすぐ後、


バシャン！


レアゲンの数m後方で波動が川から飛び出て、


ドォン！


洞窟の天井にぶつかって鍾乳石を粉砕し、


散った。