「あ、ああ…」


私は、うなずくと、イカダへと近付いた。


大丈夫…だろうか？


川を見ると、凄い勢いで流れている。


揺れをこらえることが出来ず、振り落とされそうだ。


私は、不安げにイカダを見下ろした。


…ん？


不思議なことに気付くぞ。


イカダが、急流の中にあっても…流されていない。


波が来ても、あまり揺さぶられていないように見える。


シルの言った通り、ただのイカダではない、ようだ。


よし。


乗ってみるぞ。


私は、足を踏み出し、イカダへと乗った。


私の重みで、少し沈む。


しかし、それほど傾かず、危なげなく、乗ることが出来た。


このイカダは、広さがあるので、バランスが良いようだ。


それに空気中の粒子で構成されているので、浮きやすいのかもしれない。


浮遊し、ただよっている物質が材料なのだ。


そんなことを考えながら、中央まで歩き、腰を落とした。


「では、イカダ…動かす。


アンデス山脈、向かう」


シルがそう言うと、イカダが上流に向かって、動き始めた。