私が、川から距離をとって数秒後、水しぶきがおさまった。


もう大丈夫そうだ。


私は川に近付いた。


「…！


これは…！


凄いことになってるぞ！」


川を見た瞬間、私は驚愕した。


なぜならば、川の中に半透明のドームが出現していたからだ。


半径25mぐらいの大きさで、川から10mほど顔を出している。


中をのぞいてみる。


底に遺跡が見えた。


驚くべきことに、空気が存在している。


「これならば、遺跡に行ける。


良かったぞ！


古代人のテクノロジーとは、凄いものだ」


私の感嘆の声に、シルが反応する。


「私が存在した文明において、都市や建築物を、空気中の粒子で作り出したドームで覆うことがあった。


これもその1つ。


ドーム内側の空気をコントロールし、快適に過ごせる環境を得ている。


力石からエネルギー供給を受け、実現している」


「なるほど。


…ということは、この近くに力石があるのだろうか？」


「少し、遠い。


その場所から、エネルギー転送をしている」


「そうか…」


力石は、シルの力の増強を可能とするものだ。


正直、得られれば良いと感じてしまう。


しかし、レアコアに、私達が力石を得ようとしていたことがばれてしまっている。


入手しようと近付いた場合、また破壊されてしまうだろう。


得ようとしてはいけないと言える。


遠くにあって良かった。


それは私の力石に対する残念感だけが理由ではない。


このドームは、力石の力により出現している。


力石が破壊された場合、ドームが消滅し、濁流が私達を襲うだろう。